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論文名「Electrochemical and Digital Simulation Analyses of Two-Proton-Coupled Electron Transfer Between Superoxide and Hydroquinone: Mechanistic Insights and Kinetic Parameters」
サイクリックボルタンメトリー(CV)とデジタルシミュレーション技術を用いて、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)中におけるベンゼン-1,4-ジオール(ハイドロキノン)存在下での酸素(O₂)の電気化学的還元を調査しました。ハイドロキノンの存在により、O₂の準可逆的なCVが変化し、スーパーオキシドラジカルアニオン(O₂•⁻)が生成されました。このO₂•⁻はハイドロキノンと反応し、キノンラジカルアニオンおよび過酸化水素が形成されました。本反応は、2プロトン結合電子移動(2PCET)メカニズムによって進行し、優れた反応速度論を示しました。
デジタルシミュレーションにより、電気化学的に生成されたO₂•⁻とハイドロキノンの間で生じる、不均一な電気化学反応と均一溶液反応を含む2PCETプロセスの詳細が明らかになりました。シミュレーション解析から、以下の3つの基本ステップを含む2PCETの熱力学的および速度論的パラメータが得られました:
(i) 自由反応物から前反応性複合体の形成、
(ii) 複合体内での2PCETにより遷移状態を介した生成物複合体の形成、
(iii) 生成物複合体の解離による自由生成物の生成。
これらのパラメータは、ヒドロキノン誘導体を基盤とした人工電子移動触媒や電子移動キャリアの設計・開発において、重要な知見を提供します。
- Tatsushi Nakayama
- Chemistry Select, 9, 36, e202403529, 2024
- DOI:10.1002/slct.202403529
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